1923年(大正12年)関東大震災発生、戦争景気が終わる。

2023年4月25日アジア・太平洋戦争

貿易収支・物価・為替・金融など、お金のことを知らないと政治もわからない。
 日本は第1次世界大戦の戦後景気を契機に、農業国から工業国に発展していった。工業といっても軽工業(繊維工業)が主体であったが、農業においても、繊維産業の主体(生糸)であった「繭(まゆ)」の生産によって活況を呈した。また工業の発展に伴い、全国で工場の数は3倍にも増え、工場労働者の需要は増大し、農業から工業へ仕事を変える人たちも増大した。だが好景気のブームは、過剰となった資金による株式や土地の投機につながり、米の買い占め、売り惜しみなど、さらなる物価の高騰をまねき、庶民の生活を直撃した。そんななかで起きた労働者・農民などによる「米騒動(1918年7月)」は全国に波及した。これは未曾有の大騒動となり、日本における全国規模の社会運動のはじまりとされる。
●だが戦争景気は、1920年(大正9年)3月の東京株式市場での株式の暴落で終わりをむかえる。そして「関東大震災(1923年・大正12年9月1日)」が起き、日本は世界恐慌へ巻き込まれていく。
(上写真・部分)「関東大地震」駿河台から小川町を距てて丸ノ内方面を望む(出典)「アサヒグラフに見る昭和前史1(大正12年)」朝日新聞社1975年刊より

国内経済状況と社会情勢(概略)1914年頃~1924年頃

ここでは、日本の転換期となった第1次世界大戦頃から昭和初期の経済的時代背景を要約して概略を述べる。現在における日本の政治的・経済的基盤の成り立ちがこの時代から始まる。日本は明治以来、「富国強兵」と「産業貿易立国」が日本の国是であったに違いない。そして、大正デモクラシーといわれる労働運動、普通選挙運動などについても概略を述べる。

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社会情勢(第1次大戦頃から大正時代全般)

第1次世界大戦中の空前の大好況は、重工業・化学工業を発展させ、銀行資本の集中と同時に産業の大資本家も生み出した。また大戦の後半期は、成金(なりきん)時代とも言われた。代表的なものは、「鈴木商店」や「内田信也の内田汽船」であった。

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関東大震災の発生、1923年(大正12年)9月1日

9月1日、午前11時58分に発生した地震による被害は、死者9万9千人、行方不明者4万3千人、負傷者10万人をこえ、被害世帯も69万に及び、京浜地帯は壊滅的打撃をうけた。

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